3月15日(土)、今年度の大妻コタカ記念会第3回文化講演会を開催しました。
今回は第2回に続き、大妻女子大学名誉教授である柏木由夫に講師をお願いし、「百人一首の世界」をテーマにご講演いただきました。
多くの日本人に親しまれている百人一首ですが、現存する最古の文献は約700年前の歌僧である頓阿著「井蛙抄」に見ることができるそうです。
その後、時代を経て現在の百人一首の形に変遷していくのですが、その最初の2首である天智天皇の「秋の田の…」と持統天皇の「春過ぎて…」は土地や自然への賛歌が歌われているのに対し、末尾の2首後鳥羽院の「人もをし…」と順徳院の「ももしきや…」は世の中への憂慮や懐旧の情を歌っている、その対比についてお話しされました。
百人一首は四季が32首(秋が最多)、恋が43首詠まれており、中盤の53番~62番では、55番を除き、女性歌人の歌が集中しています。和泉式部、紫式部、清少納言などその歌が詠まれた背景と心情を詳しくご説明いただき、平安文学の雅な世界に思いを馳せると共に、当時の女性たちの教養の深さを知ることができました。
たくさんの資料をご用意いただき、とても濃い内容のご講演をしていただき、参加された皆様にご満足いただけた講演会であったことと思います。
有難うございました。