1月も半ばを過ぎましたが、年の初めには”今年はこんな一年に…”と、願いを込められたことと思います。
昭和28年(1953年)1月、大妻コタカ先生はラジオ東京(現在のTBSラジオ)で次のようなお話をされています。毎日を送るうえで、参考になるものと思いご紹介します。
「私は生まれながら容貌の上では美人の上に大きく『不』の一字を載せなければなりませんが、精神美ならば心の持ちようで『我こそは日本一に』と大変な意気込みでおります。
私はいつでも和やかに平らな気持ちで、できるだけ善意に解釈して、すべてに感謝の気持ちを持ちたいと思っておりますが、この日ごろの祈りを今年も続けて、毎日を楽しみながら過ごしたいと願っているのでございます。
私は年をとるに従って、こんなことは小さなことだ、つまらないことだと馬鹿にしないで、小さいことが本当は大変大きなことだとしみじみと感ぜられるようになってまいりました。
また、毎日のいろいろの問題や苦難を見つめて、何とか明るいほうに解決の道を見出すことができますのは、感謝の気持ちが働いているためだと存じます。
何気なく鏡に映る自分の顔を見て、優しい目が映りますと「ああ、今日も美人になれた」と一人喜ぶのです。
家庭や職場で、難しい問題の起こることもありましょうが、困ったことにも苦しいことにも、お互いが愛を持って当たれば、和やかな話し合いのうちに円満に事を処理して、明るい感謝の生活ができるのではないかと思います。
感謝とか、有難いとかいうことは決して強制的ではなくて、ごくありのままの感情から流れ出る気持ちだと思います。
私どもは毎日の生活にいかに多くの恵みを受けているかと考えますと、どんな小さなものにも、つまらないことにも精一杯の愛情をもって生きようと思います。
私は若い時には、物事を悪く思ったり、不平やいろいろの悩みや苦しみがございましたが、今は感謝の日々によって穏やかな心の豊かさが持てるようになり、人様の愛情を素直に受けさせていただける気がします。」
読み進めてくると、自然に優しい気持ちになってきますが、皆様はいかがでしょうか。
この年は学校創立45周年を迎える年で、新しい校歌や制服を制定した節目の年でした。
当時コタカ先生は68歳。前年には長くつらかった公職追放が解除となり、理事長として学校運営に復帰されています。
戦争による苛酷な生活や公職追放という日々を潜り抜けて、やっと落ち着いた生活を取り戻せたコタカ先生の言葉には、とても重みがあり、素直に共感できるものです。
コタカ先生に倣い、私たちも日々心に留め、心の豊かさを保ち続けていけるようにと願っています。
(2013年1月17日記)