月別アーカイブ: 12月 2014

文化講演会「古江戸蕎麦切の時代考証について ~蕎麦切・汁と時代背景をもとに~」

1213日(土)大妻コタカ記念会主催第1回文化講演会が大妻コタカ記念会館で開催されました。

この日は、新潟県新発田市の「山岳手打ちそば『一寿』」の店主である板垣一寿さんに「古江戸蕎麦切の時代考証について~蕎麦切・汁と歴史的背景をもとに~」というテーマでご講演いただきました。

板垣さんは、講演者として紹介してくださった大妻女子大学の松本憲一先生と共に、蕎麦に関する研究をしておられ、日本食生活学会でも発表されるなどのご活躍をされている方です。

蕎麦切は、室町時代の古蕎麦切、江戸時代初期の古江戸蕎麦切、江戸時代中期から後期の江戸蕎麦切として分類され、文献古江戸蕎麦切の史料「中山日録(1636年)」、「料理物語(1643年)」、「本朝食鑑(1697年)」が残っており、蕎麦切の食べ方や時代による移り変わりが記されているそうです。(配付されたレジメより)

板垣さんはこの史料の「本朝食鑑」を基にして当時の味を再現されました。

蕎麦つゆの歴史をたどると、1750年ごろに醤油の文化が和歌山から江戸に入ってきて、醤油とだしを合わせた汁(つゆ)に変化していき、1800年代になると今に続く江戸の蕎麦屋さんが創業していきます。

醤油以前の蕎麦つゆは、味噌と水を合わせてこした「生垂れ」、生たれを加熱して煮詰めてこした「垂れ味噌」で、それに薬味のみかんの皮、大根汁、ワサビなどを加えて蕎麦を食していたそうです。

 板垣さんの地元の新発田市は「忠臣蔵」の四十七士のひとりである堀部安兵衛の出身地です。それに因み板垣さんのお店では、元禄時代の味を再現して「垂れ味噌」で「堀部安兵衛 討ち入りそば」というメニューを出されています。

 赤穂浪士たちが討ち入り前に食べたであろう蕎麦の味を、一度味わってみたいという興味がわき、日本人にとって古くからなじみ深い蕎麦が一層身近に感じられる思いがしました。

また、板垣さんは松本先生とダッタン蕎麦の普及にも努めていらっしゃいます。

ダッタン蕎麦にはポリフェノールの一種であるルチンが普通の蕎麦の100倍近く含まれていて、その成分から黄色い色をしていることが特徴的ですが、生活習慣病の予防に大きな効果があることを伺いました。

お土産にいただいたダッタン蕎麦茶は香ばしく飲みやすく、美味しくいただきました。

 

今年度の文化講演会は「食文化」をテーマにしております。

第2回目は2月28日(土)に「発酵食品~味噌、醤油の知られざる魅力~}をテーマに角田潔和先生にご講演いただきます。どうぞお楽しみに。皆様のご参加をお待ちしております。

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大妻コタカ先生45年祭

123日(水)大妻コタカ先生45年祭が大妻学院本館11階において執り行われました。

毎年ご命日の13から1カ月早めて行われており、大妻コタカ記念会ではお饅頭を祭壇にお供えしています。

年祭は式次第にのっとり、靖国神社の神官により祝詞が奏上され、参列者による玉串奉奠がされました。

 

 

終了後、花村理事長は「今年は大妻コタカ先生の生誕130年であり、没後45年の節目を迎えることができた。コタカ先生は生前、将来の大妻への心配を問われて、自分亡き後には後を引き継ぐ者がしっかりとその務めを果たしてくれるので何の心配もない、と力強く答えられた。」というエピソードをお話になり、さらに「天上から我々後継者にしっかりやりなさいと見守っていてくれるものと思っている。」とご挨拶されました。

の後は、バスで多磨霊園へ墓参に出かけました。

この日は雲ひとつない晴天で、色づいた木々の美しさが一層鮮やかに目に映りました。

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東儀秀樹~雅楽のしらべ~ (大妻コタカ記念会法人設立40周年記念文化講演会)

1129日(土)大妻コタカ記念会法人設立40周年記念文化講演会「東儀秀樹~雅楽のしらべ~」が、大妻講堂において開催されました。

大正10年に大妻コタカ先生によって設立された大妻同窓会が、昭和49年に財団法人化されてから40年目となる記念の講演会で、雅楽の演奏家である東儀秀樹氏をお迎えしました。

東儀秀樹氏は、専門の雅楽の他、ジャズやロック、クラシックなど幅広く活躍されており、その知名度の高さから、開場前には受付開始を待つ多くの方が列を作られました。

定刻の1430、いよいよ始まりです。

始めに記念会会長の挨拶の後、幕が上がり鐘の音が鳴る中、狩衣装束の東儀氏が篳篥を演奏しながら座席後方より登場。

篳篥の音色が会場いっぱいに響き渡ります。

初めに、東儀氏によりこの日の演奏で使われている楽器の紹介がありました。

まず管楽器からで、

「笙(しょう)」は17本の竹管を束ねた形で、それは鳳凰が翼を広げた姿で「天から差し込む光」を表すとされており、パイプオルガンやアコーディオンのルーツになっているとも言われているそうです。

「篳篥(ひちりき)」は縦笛で主旋律を担当するもの。この音色は「地上の人の声」を荒らしていると言われ、オーボエのルーツと言われているそうです。

「龍笛(りゅうてき)」は横笛で、龍が天と地の間を行き交う「龍の鳴き声」を表しているそうです。

そして、これらの楽器がそれぞれ「天」「地」「空」を象徴することから、奏でられる音色で小宇宙を表現していると考えられるとお話を伺い、雅楽の表現するスケールの大きさを感じました。

次に弦楽器の琵琶、筝、打楽器の釣り太鼓(楽太鼓)、鉦鼓の紹介がありました。

そして、これらの楽器で「越天楽」「陪臚(ばいろ)」などを演奏していただき、それぞれが表現する音色を楽しみ、古くから伝承されてきた完成度の高い雅楽の素晴らしさを堪能しました。

その後は、雅楽のもう一つの表現である「舞楽」で、優雅な舞姿を鑑賞しました。

第二部はガラッと雰囲気が変わり、東儀秀樹オンステージ。

ご自分がギター、ベース、シンセサイザーなどで演奏した曲をバックに、篳篥の奏法を生かして、その豊かな音色で「ジュピター」「花みずき」「翼をください」そして、アンコールには「誰も寝てはいけない(歌劇トゥーランドットより)」を演奏され、東儀氏だからこそできる世界を見せていただきました。

この日の会場である大妻講堂の舞台にはパイプオルガンがありますが、この演奏ではパイプオルガンを生かした見事な照明がなされ、篳篥の音色に包まれた幻想的な世界が創り上げられました。

おいでになった皆様にも喜んでいただけたものと思っています。

東儀氏は雅楽と洋楽の融合を意識され、音楽を楽しむことについて次のように話されていたことが印象に残っています。

「音楽は自由なので、好きなように楽しんでいただければ良いのです。自分は音楽を仕事にしていますが、楽しんで仕事をしています。」

東儀秀樹さんがこれからもお仕事を楽しまれ、ご活躍されることをお祈りいたします。

この記念講演会の開催に際しましては、関係するたくさんの方にお力をいただきました。心より御礼申し上げます。

 

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