11月21日(土)大妻コタカ記念会主催の文化講演会が、大妻コタカ記念会館で開催されました。
今年度の文化講演会のテーマは「陰陽五行の世界」で、第1回となるこの日は「日常生活における陰陽五行の世界」を大妻女子大学非常勤講師である渋谷研先生に、ご専門である民俗学の立場からお話をしていただきました。
ご講演は大相撲の土俵と五行の関係から始まりました。
土俵の上には4色の房が下がっているが、青房は東、赤房は南、白房は西、黒房は北を表しているとともに、それぞれ青龍、朱雀、白虎、玄武を象徴するもので、土俵の黄色と相まって宇宙を表現しており、この色、方位は五行である木、火、土、金、水(もっかどこんすい)に由来するものであること。
さらに、五行の間には相性が良いとされる「相生」と相性が悪いとされる「相剋」の関係があること、十干十二支について、季節との関係について、鬼門についてなど興味深いお話が続きました。
土用は季節ごとにあるのに、なぜ夏の土用だけが取り上げられるのか。
年末から年始にかけて酉に関する行事が多いのはなぜか。
桃太郎のお供がなぜサル、キジ、イヌなのかという不思議。
などなど、これらはすべて陰陽五行思想に基づくものであるというお話も面白く伺いました。
先人たちは日々の生活の安寧を願う気持ちで、物事に対する考え方に陰陽五行思想をあてはめてきた、という先生の最後の言葉に同感し、先人のすばらしい知恵にあらためて感心しました。
先生にはたくさんの内容をご用意いただき、時間が足りないほどでしたが、参加された皆さんは熱心に耳を傾けられ、終了後には「わかりやすくて面白かった」という声をたくさんの方から伺いました。
ご講演いただいた渋谷先生に心より御礼申し上げます。
「陰陽五行の世界」の第2回は「平安文学に見られる陰陽道」です。
また多くの方にご参加いただけますよう、お待ちしております。