今年度の大妻コタカ記念会文化講演会は「祭りの様相」を主題として、10月と11月の2回にわたり開催いたします。
その第一回が10月14日(土)に、「天下祭りと山車人形」をテーマとして開催されました。
昨年、「山・鉾・屋台行事」がユネスコ無形文化遺産として登録されたことにちなみ、江戸の天下祭り【山王祭と神田祭】と、その主役である「山車」、「山車人形」についてを大妻女子大学博物館准教授である是澤博昭先生にご講演いただきました。
是澤先生はご専門であるひな人形の研究を始めとして、川越氷川祭の山車行事山車等修理検討委員会委員や佐倉市文化財審議委員などを務められ、赤坂氷川神社など各地の山車人形の調査に従事しておられます。
山王祭と神田祭は江戸の天下祭りと言われていますが、それはこの祭りが江戸城内において将軍の上覧があり幕府が祭礼費用の一部を負担していたことに由来するものでした。この二つの祭りは隔年交代で行われ、17世紀後半(元禄時代あたり)には天下祭りの形態が整っていたそうです。
更に時代は進み、幕末には下から見上げる「江戸型山車」に山車人形が誕生していき、19世紀以降に山車人形の注目度が本格的に高まるに至っていきます。
そして最後には、文化文政時代に人形師としてひな人形だけにとどまらず根付など大小さまざまな作品を手掛けた原舟月の名品を紹介していただきました。
人形は他のジャンルの美術品と違って、その人形に自分の思い出を取り込み語ることのできるものであるというお話は大変興味深く印象に残りました。
次回は「山王祭と江戸文化」について成城大学の滝口正哉先生にご講演いただきます。
どんなお話を伺えるか、大いに楽しみです。
たくさんの皆様においでいただきますよう、お待ちしております。