11月11日(土)、今年度の大妻コタカ記念会文化講演会「祭りの様相」の第2回が開催されました。
今回のテーマは「山王祭と江戸文化」で講師は成城大学、立正大学で非常勤講師をされている滝口正哉先生。しばらく前まで四番町歴史民俗資料館の学芸員をされていた経歴もお持ちです。
江戸の世に天下祭と称された山王祭と神田祭。
山王権現(現日枝神社)と神田明神の祭礼のみ行列が江戸城に入り、北の丸で総軍の上覧に供することから「天下祭」といわれ、数ある祭りの中でも特別なものとされていたのでしょう。
それは資料としてご用意いただいた「諸国御祭礼番附」の最上位にこの二つの祭礼がきていることからもわかります。
この二つの祭礼は隔年交代で行われており、祭礼の費用は地主から徴収し、名主が段取りから警備・取り締まりまでを行っていたことや、祭礼行列が町を巡り江戸城に入場することこそが、江戸庶民の存在を将軍を含めた武士層に認めさせる最大の場面であったことなどわかりやすく説明していただきました。
また、資料の「山王御祭礼附祭番附」など大変興味深く、江戸の祭りの様子を思い浮かべながらお話を伺いました。
この時代の盛大な祭礼も明治期に入ると、将軍の上覧や江戸城への入城という特権がなくなり、山車を保持する氏子町の経済事情にもより、だんだんと形を変えざるを得なくなっていき、居場所を失った山車等は、関東周辺の都市に売却されたり、町内の倉庫に長く眠っていたものもあったとのことです。
そんな中、麹町で山車人形の一つである通称「てけてん小僧」が見いだされ、千代田区の文化財に指定されたということも伺いました。
江戸の中心部で盛大に行われた祭礼は、江戸文化のレベルを引き上げる大きな役割を果たしていたという先生の言葉が印象に残りました。
2回の文化講演会を通して、大妻のある千代田の地域の歴史を更に知ることができました。
今年度の文化講演会はこれで終了となりますが、おいでいただきました皆様どうもありがとうございました。
また次年度も足をお運びください。