2月28日(土)、大妻コタカ記念会の今年度文化講演会のテーマである「食文化」の二回目として、「発酵食品~味噌、醤油の知られざる魅力~」の講演会が角田潔和先生をお迎えし、大妻コタカ記念会館で開催されました。
農学博士である角田先生は、平成19年から発酵学者の小泉武夫氏と(株)小泉研究所を設立され、現在もともに研究を進められ、もろみ酢、黒甘酒、鮪魚醤などを開発、実用化されている醸造学、発酵学の権威でいらっしゃいます。
また、大妻女子大学でも授業を担当され、同大学の松本憲一先生のお世話によりこの日の講演に至りました。
今年2月の朝日新聞に掲載されていた天声人語の”味噌ガール”の記事や、「目玉焼きには何をかける?」という記事から和やかに講演が始まりました。(ちなみに記事では47%が醤油派、先生も醤油派だそうですが、醤油派が以外に多かったことに驚かれたそうです。同感です。)
講演の内容をご用意いただいたレジメを基に簡単にご紹介します。
味噌、醤油のルーツは中国南西部の蜀(今の四川省)で、そこから朝鮮半島を経て今から1000年以上前に日本に伝わってきました。
日本では醸造中のもろみの上澄液を醤油、固形物を未醤(ミショウ)と呼び、時を経て味噌と言われるようになったそうです。
味噌は大豆に米や麦や豆、それに食塩を原料とし、麹を加えて発酵熟成させたもので、その原料の違いによって米味噌(この出荷量が最多で全体の約8割)、麦味噌、豆味噌(八丁味噌はこの豆味噌)になります。
味噌には血圧上昇抑制や抗酸化性ほかの様々な効果が医学的見地からも報告されており、近年は海外のベジタリアンからも注目されています。
醤油は大豆、小麦、食塩を原料とし、麦麹を加えて発酵、熟成させて造ります。濃口、淡口(うすくち)、溜(たまり)、再仕込等の種類があり、料理によって、また地方によって使い分けされています。
醤油は1970年代にアメリカでテリヤキソースとして爆発的に広まり、その後ヨーロッパでもその味が認められ、寿司ブームによって世界の調味料としてますます広まっています。
最後にはご用意いただいた米味噌(信州味噌、仙台味噌、西京味噌)、麦味噌、豆味噌(八丁味噌)、金山寺味噌、そして濃口醤油、淡口醤油、溜醤油、再仕込醤油、白醤油(醤油は豆腐にかけて)を食べ比べて、味の違いを実感しました。
和食がユネスコ世界無形文化遺産に登録され、脚光を浴びている昨今、その深い味を演出する味噌や醤油に対する知識や魅力をたくさん教えていただき、参加された方からの質問にも答えていただいて有意義な講演会になりました。
27年度も皆様の興味ある内容で文化講演会を開催して参ります。
引き続き多くの方にご参加いただきますようお願い申し上げます。