7月15日(土)今年度の文化講演会第一回を開催いたしました。
暑い時期ではありますが、多くの方にご参加いただきました。
今年は“日本の四季に寄せる平安人の心”をテーマに、大妻女子大学名誉教授である柏木由夫先生に二度にわたりご講演いただきます。
今回は「夏は闇と光と声と」と題して、旧暦では5月28日であるこの日に、「夏」にふさわしい歌題をお話しいただきました。
平安人が、自然に寄り添い、鳥や花などを愛で、その心のままを歌に詠む、その気持ちをほんの少しでも理解したいと願い 先生の解説に耳を傾けました。
ご説明いただいたのは次の4つの題材。豊富な資料をそれぞれにご用意いただきとても分かりやすくお話しくださいました。
- 菖蒲…しっとりと薫る菖蒲は、ショウブ、アヤメ?~平安和歌に見られる菖蒲~
- 時鳥…夏の夜更けに一声鳴く、時鳥・郭公?~平安和歌に見られるホトトギス~
- 五月雨…梅雨は、長雨(ながめ)、五月雨(さみだれ)~平安和歌に見られる五月雨~
- 蛍…梅雨の闇夜に揺らぎ舞う蛍の光~平安和歌に見られる蛍~
最後に百人一首に詠まれている「夏」の歌(初夏から晩夏までの4首 たった4首しかないそうです)をご説明くださいました。
- 春過ぎて夏来にけらし白妙の 衣干すてふ天の香久山(持統天皇・2)
- 夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを 雲のいづくに月宿るらむ(清原深養父・36)
- ほととぎす鳴きつる方をながむれば ただ有明の月ぞ残れる(後徳大寺左大臣・81)
- 風そよぐ楢の小川の夕暮れは 禊ぞ夏のしるしなりける(従二位家隆・98)
季節がうつろい、また楽しいお話が伺えるのはとても楽しみです。